
1998年3月、仲間のあいだで、計量器、温度計、タイマー等を使って、八重子の到達した境地をうかがおうという試みが始まりました。1年近い奮闘の結果、計器を上手に利用することによって、習練を積み重ねることをしないでも、茶に教わった八重子の境地(香甘苦渋を淹しわける)に到達する途を見つけだすことができました。
天にも上るような感激を覚えた私は、この技に、機能的でかつ簡単な道具立てとシンプルな手順を加味し、<茶巧(さこう)>と名付けたのです。<巧(たくみ)>には、辞書によると「いろいろ思いめぐらして見つけ出したよい方法」という意味があります。
庶民の日常生活の場だった<茶の間>や<寄り合い>の交わりの中で、茶と深いかかわりをもった生活文化が、自然に育っていたように思われます。それは長い年月をかけて生まれてきたもので、茶道の世界で作り上げられた文化とは別のものでした。
コンピューター万能の乾燥した世相の隙間に、古きよき時代の茶の間・寄り合いに見られたような、うるおいの時間・空間が再現されることがあればよいと希っています。当然その形容は、現代生活にマッチするように、たとえば、イギリスにあるティーブレイクにも似た風にアレンジされたもの、またたとえば、サロンと呼ばれるような場所であるかもしれません。
多くの夢の集まる家、その夢、夢が思うさま表現されるところという意味で、そこを<夢のいほ>と呼びましょう。
その<夢のいほ>で、この<茶巧>が中心的役割を演じてくれることになればと、念願するものであります。