みなさん、こんにちは。
愛媛県と高知県の県境付近にそびえる海抜1992mの石鎚山は、四国の背梁を成す石鎚山系の中核をなす山で、古くから役の行者(えんのぎょうじゃ)の開いた修験道の山として山岳信仰の対象となってきました。
この石鎚山麓の村では、古くから「馬糞茶」、あるいは「腐らし茶」と呼ばれた独特の醗酵茶が作られてきました。このお茶は、摘み採った茶葉を蒸して、酸化酵素の働きを止めた後に(これを殺青といいます)、黴や菌類で醗酵させて作ることから「後醗酵茶」に分類されます。また、出来上がったお茶の色が黒いことから「黒茶」とも呼ばれています。
同じように作られる後醗酵茶には、富山のバタバタ茶、徳島の阿波番茶、高知の碁石茶、などがあります。
これらはみな、需要の激減や後継者難により、次第にその存続自体が危うくなってきております。そのなかでも、石鎚山麓で作られてきた石鎚の黒茶は、数年前から小松町の農家ただ一軒を残すのみとなりました。今年幸いにもその製造過程の全てを見ることができましたので、ここで御紹介をいたします。
石鎚の黒茶には、他の番茶と同様、新芽ではなく成葉を使います。摘採は木の枝をしごいて小枝ごとむしり採るようにします。
むしり採った茶葉は、蒸篭で30分ほど蒸します。蒸して柔らかくなった茶葉は、広げて、少し水を掛けて冷します。
約2週間ほど漬込んで、程良く醗酵がすすんだら取りだして天日で乾燥させたら石槌黒茶の出来上がりです。
今、石鎚黒茶は後継者難から滅びようとしております。幸いにして愛媛県技術センターがその製法の保存に務めているとのことですが、貴重な茶の文化遺産として、また地域の特産として、何とかこの石鎚の黒茶を伝承していくことが出来ないものでしょうか。